最澄(さいちょう)といえば、比叡山延暦寺そして天台宗の開祖です。
今回、最澄のかんたんな経歴、仏教で日本に与えた影響、空海との違いについてかんたんに紹介します。
最澄、プロフィール
名前 最澄(さいちょう)
俗名 三津首広野(みつのおびとひろの)出身地:近江国(現:滋賀県大津市)
生誕:766年頃
死没:822年
享年:56歳(病死)
時代:奈良時代末期~平安時代前期
かんたんな経歴、何した人、どんな人?
最澄は、平安時代前期に大活躍したお坊さんです。
現在の滋賀県大津市である近江国に生まれました。
12歳で寺に弟子入りし、14歳で最澄と名乗り、そして19歳になった最澄は奈良・東大寺で正式な手続きをしお坊さんとしてデビューしました。
しかし最澄がお坊さんデビューした頃の日本は、仏教が政治に深く関わり過ぎて世が乱れまくっていたのです。
理由は、貴族たちが脱税のためにお坊さんとタッグを組み、互いに権力を増していったからでした。
またその頃の仏教は、貴族のためにあるようなもので、一般庶民は皆アウェイー感を味わっていたのです。
最澄は、現状の仏教に嫌気が指し、自らの理想の仏教を求めて比叡山での修行を開始したのでした。
最澄の理想とする仏教は、身分に関係なく多くの人を救うためのものと考えていました。
修行に励んでいた804年に桓武天皇からオファーがありました。
なんと遣唐使のメンバーとして唐(当時の中国)に行き、仏教を学んで欲しいと言われたのです。
還学生(げんがくしょう)という、通訳つきのエリート職として唐に行きました。
そして約1年後に日本に戻り、天台宗を世に広めました。
最澄の天台宗の教えは、「人は誰でも仏になれる 人間の他に、この世の全てのものが仏になることができる」と説いたのです。
それまでの日本で主流だった法相宗は、人は生まれた家柄によって仏にもなれる人もいれば、なれない人もいるという教えでした。
ですから、最澄の教えである天台宗は、庶民の心の拠り所となり、皆に勇気と希望を与えたとされています。
822年6月に56歳でこの世を去り、866年には、生前の功績を称えられ、伝教大師(でんぎょうだいし)の位が清和天皇より贈られ以後伝教大師最澄と呼ばれています。
仏教で日本に与えた影響って?
当時、仏教が日本に与えた影響とはどんなものだったのでしょうか。
鳴くよ(794年)うぐいす平安京で有名な、平安遷都(首都の移転)ですが、この歴史的大イベントの関係者の一人が最澄でした。
最澄が比叡山にこもった理由でもある、お坊さんと政治の関わり、一部の貴族とお坊さんが権力を持ち貧困に苦しむ民衆が多くいた時代に、道鏡(どうきょう)という有力なお坊さんが居ました。
道鏡は称徳天皇(しょうとくてんのう)の病を治したことをきっかけに瞬く間に権力をもち、天皇の座まで狙っていたとされています。
時の天皇である桓武天皇(かんむてんのう)は、今後は道鏡のようなお坊さんが現れないように、お坊さんが権力を持ち政治に参加しようとするのを阻止しようと考え平安京を作ったのです。
しかし、何も罪のない民衆から仏教を取り上げるわけにいかずに、最澄に頼ったのでした。
最澄の教えは、身分に関係のない教えだったからです。
さらには、現代日本のメジャーな宗派として知られる、日蓮宗の日蓮、浄土宗の法然、臨済宗の栄西、浄土真宗の親鸞、曹洞宗の道元たちは皆、最澄とおなじ比叡山延暦寺で修行をしたお坊さんたちだったのです。
最澄は自らも仏教界のスターでありながら、後に数々のスターを生み出していたのです。
空海とはなにが違うの?
仏教界のスーパースターである最澄と空海ですが、二人はまったく違うタイプの人間でした。
両者ともに、通常では考えられない努力と猛勉強をし、仏教を通じて人々を助けることを目的にしましたが、そのプロセスに違いがありました。
最澄は、修行あるのみ!といった厳しい道のりを歩む一方で、空海は修行をするよりもどんどん人々と関わって、困っている人を助けようとしました。
最澄は、独自の理念に基づいて行動するタイプ。
空海は、みんなの満足感をも求めて行動するタイプでしょうか。
空海が世に広めた真言宗は、密教にも多く影響を受けており、人は生きていながらにして仏になれると説きました。
空海といえば、最澄とよく並べられる仏教界にスターですね。
こちらの記事で空海について、かんたんにわかり易く紹介しています。
まとめ
比叡山延暦寺で有名な最澄ですが、平安遷都(首都の移転)に関わっていたとは驚きです。
もし最澄が居なかったら、平安遷都は失敗に終わり、今、私たちが慣れ親しんでいる仏教との関わりも別の形になっていたのかも知れません。
最澄がいたからこそ、仏教の基本スタイルである宗派が生まれ、現在の仏教があるようです。
ということで、
5分で最澄を知る!仏教で日本に与えた影響、空海との違いについてでした。
最後まで読んでいただきありがとうございます^^