菱川師宣(ひしかわもろのぶ)といえば、江戸時代初期に活躍した浮世絵師です。
「見返り美人図」があまりにも有名で、現代でも切手になるほど人気です。
今回、菱川師宣のかんたんな経歴、代表作品「見返り美人図」は当時のイケてる女だった?について、紹介していきますよ。
菱川師宣、プロフィール
名前:菱川 師宣(ひしかわ もろのぶ)
出身地:安房国保田(現・千葉県鋸南町)
生誕:1630年~1631年
死没:1694年7月25日
享年:64~65歳(死因不明)
時代:江戸時代
かんたんな経歴、何した人、どんな人?
菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)は、1618年に、金箔刺繍の縫箔(ぬいはく)師の菱川吉左衛門の長男として、安房国保田に生まれました。
安房国保田は、江戸湾(東京湾)に面した大きな漁港のある漁師町です。
縫箔師とは、主に皇族や大名家、位の高いお坊さんからの注文を受け、布地に金箔や銀泊を貼り刺繍をする仕事で、高い技術力のほかに創造力と芸術的センスを求められました。
師宣は、幼いころより父の元で縫箔師の修行を重ねながら、独学で絵を学んでいたのです。
16歳の時に江戸に行き絵の修行を始めます。
縫箔の技術は、下絵となる絵を描けなければ、一人前の縫箔師とは言えないからです。
江戸では、縫箔師としての仕事のかたわらで、幕府の御用絵師として活躍していた狩野派や土佐派などの技法を学んだのでした。
そして縫箔師ならではのセンスを掛け合わせた、独自の絵のスタイルを確立していったのです。
もともとは、一人前の縫箔師になるために絵の修行に出ましたが、当初より絵を描くことが、何よりも好きだった師宣は絵を本業にしました。
庶民が読む本の挿絵を描き、そして絵を中心にした本を描いたのです。
当時は、元禄期で庶民にも本を読む文化がありましたが、文字だらけの本は読みにくく、挿し絵のある本がよく売れました。
1672年、40歳の頃、「武家百人一首」の挿絵を描いたことで、師宣の名前は世に知られる事となります。
他には、男女の性愛を描いた春画や歌舞伎役者など多くを描いています。
これまでの絵は墨で描かれていましたが、師宣は、筆で色を付け始める技法により、浮世絵を確立させたのです。
浮世絵とは、過去でも未来でもない、目の前にある現在の生活の中にあるものが描かれた絵のことです。
そして10年後の1682年、井原西鶴のヒット作「好色一代男」が出版されると、その挿絵を担当し浮世絵師としての地位が認められるようになります。
晩年は代表作である「見返り美人図」を描き圧倒的な人気を得ました。
1694年に江戸村松町(現・東京都東日本橋)の自宅で亡くなりました。
師宣の生年には諸説あり、1618年とも1630年から1631年とも言われています。
1703年に関東地方で起きた元禄地震による大津波で、師宣に関する資料が海に流されてしまったことから、正確な情報がわかっていないのです。
「見返り美人図」は当時の流行?どんなものだった?
「見返り美人図」といえば、菱川師宣の代表作品で、現代でも切手になるほど有名で人気です。
これですね。
見返り美人図をみた江戸庶民は「菱川ようの吾妻おもかげ(意味:師宣の描く美女こそ江戸の女だ)」と、師宣の絵を大絶賛したと言われています。
このことから、かなり流行っていて、これが当時のイケてる女だったということがわかります。
描かれている女性の髪型やファッションにその特長がありました。
髪型は、「吹前髪」と「玉結び」、そしてべっ甲の櫛(くし)。
着物は、桜と菊が描かれた「花の丸」と呼ばれるデザインの鮮やかな着物。
帯結びは、「吉弥(きちや)結び」と言い、人気の歌舞伎役者を真似した様子が取り入れられています。
そして一番気になる美人顔は、髪は艶のある黒髪、肌は色白、面長で目は切れ長の一重といったところでしょう。
有名な代表作品は?
菱川師宣の代表作品は、もっぱら「見返り美人図」です。
「見返り美人図」は、歩いている途中で後ろを振り向く姿が描かれており、当時の人気顔と最先端のファッションが伺えます。
正面からでは、髪型や帯結びが描けず、後ろ姿では、肝心の顔が描けません。
そこでこの全てが取り入れられた後ろを振り向く姿は天才的な構図とされています。
では、他の代表作品を紹介してみましょう。
浮世絵師になりたての時に描いた「北楼及び演劇図巻」は、吉原遊郭と歌舞伎の光景が集められています。
たくさんあって画像を載せるとたいへんなことになるので(・∀・)、どうしても見たい人はこちらのサイトが見やすくておすすめです。
「北楼及び演劇図巻」・東京国立博物館(他サイトへとびます)
晩年に描かれた「歌舞伎図屏風」は、歌舞伎小屋の様子が描かれており、歌舞伎舞台から客席まで258人もの人々が表情豊かで躍動感溢れる作品で、重要文化財に指定されています。
これですね。
画像・「歌舞伎図屏風」
どれも凄いですよね。(・∀・)
まとめ
ということで、
菱川師宣を5分で!代表作品「見返り美人図」は当時のイケてる女?でした。
菱川師宣をかんたんに語るポイントは、
・縫箔師から浮世絵師になった
・人気を迎えたのが40歳過ぎてからだった
・「浮世絵の祖」と呼ばれ浮世絵を確立させた
・元禄文化を代表する「見返り美人図」は、イケイケだった
最後まで読んでいただきありがとうございます^^